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『佐四郎稲荷』

 今から二百年ほど前のことです。原市村に四郎べいどんと佐吉どんという人が住んでいました。二人は幼いころから、お伊勢参りに一緒にでかけるのが夢でした。

 夏のある日、とうとう夢かない、夜明けとともにでかけました。まるで弥次さん喜多さんのような胸おどる道中で、二週間ほどかけて伊勢参りもすませました。帰り道、豊川稲荷で拝んでいると、不思議なことに、白ぎつねが二人にのりうつりました。

 暮れかかる道々、宿をさがして足早に歩いていると、追いはぎにおいかけられてしまいました。二人は、あわてて逃げようとして、トウモロコシ畑の頑丈な根っこにつまずいてしまったのです。

 もはやこれまで、という時に、のりうつっていた二匹の白ぎつねが目の前にぱっと現れました。そのきつねにおどろいた追いはぎは、一目散に逃げていきました。その後も、白ぎつねが守っていてくれたのか、四郎べいどんと佐吉どんは、無事原市村へたどりついたそうです。

 どんなにか、ありがたかったのでしょう。二人は、お金を出し合い、佐吉どんの佐≠ニ四郎べいどんの四郎≠とって、佐吉どんの家の裏手に「佐四郎稲荷」と名づけ、お社をたてました。今は、「笠間稲荷」とも呼ばれています。