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『お玉のはなし』

 今から百六十年ほど前、越後の国に清≠ニいうそれは美しく親思いの娘がいました。家は貧しく生活が苦しかったので、お清≠ヘ親を助けるため、江戸へ行って働く決心をしました。十一歳の時のことです。

 途中、上尾の大村楼に立ち寄ったところ、主人に大変気に入られたので、その宿で働くことにしました。お玉≠ニ名前も変え、一心不乱に働きました。美しい上に働き者で、頭も良く情も細やかなので、大変な評判になりました。

 ところがある日のこと、病に冒されてしまいました。みんなで快復を願い神仏に祈りましたが、看病のかいもなく、亡くなってしまいました。お玉≠ヘ、二十歳になったばかりでした。


 大村楼の主人は、日頃からお玉の孝心に心打たれていましたので、霊を慰めるために墓を建て、後の世までもお玉のことが伝えられるようにと、お玉の生い立ちを記した碑を建てました。
遍照院にある墓の中で、今もお玉≠ヘ静かに眠っているのです